12月定例会一般質問より
① エネルギー政策について
「おはようございます。公明党の木村誉でございます。
いよいよ質問戦も、本日が最終日となりました。昨日は、松下議員が“理事者の剛速球に振りまけないように!”との意気込みを述べられましたが、私もそれに倣い、しっかりと、又、変化球にも食らいついてがんばりたいと思います。理事者各位には明快な御答弁をお願い申し上げ、早速、質問に入らせて頂きます。
ご案内の通り、先の9月議会において伊方原発3号機の再稼働に関する決議が議決され、10/26中村知事は四国電力と国に対し正式に同意を表明されました。それぞれに責任を伴う非常に重い決断でありました。
わが会派は、安全性のあくなき追及とともに脱原発依存に向けた着実な廃炉推進を掲げ、いわゆる“条件付賛成”という決断をいたしましたが、今後とも、原発の安全確保と廃炉推進、脱原発依存に向けて、気を引き締めて取り組んでまいりたいと思います。
さて、9月議会閉会直後の10/11から7日間、私は県議会海外派遣団の一員として米国派遣調査に参加させて頂きました。この場をお借りいたしまして、派遣議員、並びにご尽力頂きました職員・関係各位に感謝を申し上げたいと思います。
非常にタイトな日程ではありましたが、米国の原子力政策、防災・危機管理対策、エネルギー事情等を中心に、おかげさまで貴重で有意義な調査を行うことができました。本日はその概要と、そこで得た知見を元にいくつかの事柄について取り上げてみたいと思います。
まず、エネルギー政策についてであります。
ワシントンDCにあるCSIS戦略国際問題研究所では、米国で現在進行している“シェールガス革命”についてお話を伺いました。その劇的なエネルギー事情の変化は、米国内のエネルギー構造に大きな影響を与えており、シェール由来の天然ガスが急速に普及を広げ、今やベースロード・エネルギーになりつつあるとのことでした。
早ければ2017年にはLNG、液化天然ガスの純輸出国となる見通しで、近い将来、米国が、中東に依存しない世界最大のエネルギー大国となることはほぼ確実であり、それによってわが国も、経済・安全保障など広範な分野において多大な影響を受けることは免れません。
とりわけ私の印象に残ったのは、シェールガス革命による米国の原発政策への影響についてでありました。
シェールガス普及の最大の推進力となったのは、ずばり、コストであります。
これまで最も安価であった石炭に比べても圧倒的な価格優位性を実現しており、それを可能にしているのは、豊富な埋蔵量と世界初の革新的な採掘システム、この2点でありました。
そうした動きの中で、シェールガスの低価格についていけない、採算が取れないということで廃炉を決断する原発事業者が近年増えてきているとのことであり、私は、このことが脱原発依存社会を実現する上で、非常に重要な鍵を握っていると感じました。
つまり、米国においてシェールガスは、知事がいつも言われる“コスト、出力、安定供給”という3つの条件が満たされた、原子力に替わりうる代替エネルギーそのものであり、事実、その急速な普及によって、廃炉、つまり原発の縮小が進んでいるのであります。
ビジネスセオリーに照らせば当然の帰結というふうにも聞こえましたが、さらに廃炉に関しては、この数年だけでも数十兆円のビジネスチャンスがあるとのことで、今後、世界中で廃炉技術に対する需要が飛躍的に高まるだろうとの見通しが述べられました。廃炉ビジネスの大きな可能性、それは脱原発依存への道筋をより確かにしゆく光明であり、知事が国に要請された伊方原発での加圧水型の廃炉技術研究の推進という方向性は的確であると、あらためて確信が深まる思いがいたしました。
翻って、わが国であります。日本では、米国シェールガスのような3条件がそろった代替エネルギーの確保は本当に不可能なのでしょうか。
確かに周囲を海に囲まれ、エネルギーには乏しい資源小国ではありますが、一方でわが国は、世界屈指の技術大国でもあります。次世代のエネルギーとして有力視されているメタンハイドレードの実用化や将来的な水素社会の実現など、今は不可能であってもそれを可能にする力があると私は確信しております。
ゆえに、国においては、原子力を代替する革新的なエネルギー開発に全力を挙げて取り組むべきと思いますし、蓄電等の新技術の実用化に向けた研究やスマートグリッドといった新たなシステムの構築、或いは来年からスタートする電力小売の全面自由化などのような法制改革も含め、思い切った政策を加速させるべきだと思うのであります。
そこで、お伺いたします。
知事は、現在進行中の米国“シェールガス革命”についてどのように認識し、それによる国際社会の変化、わが国及び本県に与える影響についてどう考えられるのか、見解をお聞かせください。
また、将来のわが国のエネルギーのあり方についてどう考え、国においてどういった取り組みを期待するのか、ご所見をお聞かせください。」
<答弁要旨:中村知事>
「自前の資源が乏しい我が国のエネルギー政策においては、コスト、出力、安定供給といった基本条件に加え、安全性の確保や自給率の向上、更には温室効果ガス削減の観点等も踏まえた上で、各エネルギー源の強みが活かされ、弱みが補完される多層的な供給構造を目指すことが求められていると考えている。
このため、国では、「エネルギー基本計画」や「2030年度の望ましい電源構成」において、再生可能エネルギーの導入を最大限加速し、その割合を、2030年度には、22~24%程度を目指すほか、メタンハイドレートなど国産資源の開発を進めることとしており、今後はこうした新たなエネルギーの導入拡大が主要な課題になるものと認識している。
しかしながら、再生可能エネルギーを巡っては、高コストに加え、出力量が小さく、供給も不安定であるほか、送電網の増強や蓄電技術の開発など、クリアすべき多くの課題を抱えており、メタンハイドレートについても、未だ資源量の調査や技術開発を行っている段階であることから、国には、今後、こうした課題解決や資源開発への取り組みの強化を求めるとともに、当面は、米国からのシェールガスの調達などエネルギー供給源の多様化や、消費国の連携による価格交渉力の強化など、我が国の経済活動の安定に向けた電力コストの引き下げや、安定供給体制の確立に、しっかりと取り組んでいただきたいと考えている。」
<答弁要旨:経済労働部長>
「米国におけるシェールガス革命は、原油価格など世界のエネルギー市場に大きな影響を与えるものと考えられ、我が国ひいては本県にとっても、シェールガス増産による価格抑制を通じ電気料金の引下げに繋がることが期待されるとともに、政治的に安定した友好国である米国からの燃料供給は、安全保障面からも大いにメリットがあると認識している。
一方で、シェールガスは、コスト、出力、安定供給といった代替エネルギーとしての一定の条件をクリアすることは期待できるが、あくまで火力発電を支える燃料であり、自前の資源に乏しい我が国では、電源構成の約9割を燃料輸入による火力発電が占め、その半分以上をLNGに依存している現状において、自給率向上などの課題を直ちに解決するものではないのではないかと考えている。
加えて、温室効果ガス削減に逆行する観点も踏まえると、現時点では、原発に代わり得る重要なエネルギー源として有望視されるものの、将来的には多様なエネルギー源の一つとして位置付けることが適当ではないかと考えている。
なお、シェールガス市場については、原油との価格競合の状況や、米国の輸出規制の行方など不透明な点もあり、今後、それらの動向にも注意しておく必要があると考えている。」
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 22:33