体調いまだ芳しからず、で静養の1日。
��わたしはレンタルお姉さん。」(二見書房)、を読んだ。
著者は、川上佳美(かわかみ よしみ)さん。
彼女の仕事は、
ニートや社会的引きこもりといわれる若者たちを訪問し、
その再出発をサポートすること、である。
見るからにチャーミングな方だが、
一読したその仕事ぶりはひと言、タフネス。
何年も自室に引きこもるニートに対して、
焦らず急がず、くさらず怠らず、足を運び。
再び社会に向き合い、次のステップへ挑戦しよう、と心を開かせ、
最後に背中をそっと押してあげる、そこまでの全部が、彼女の仕事。
それが簡単であるはずはない。
その志に、感動せずにはいられないのである。
今。
ニートの若者たちは、全国に85万人とも100万人ともいわれるが、
その支援の草分け的存在の1つに、NPO法人ニュースタート事務局がある。
そして、レンタルお姉さんは、同事務局独自の事業なのである。
��ご参照URL⇒ http://www.new-start-jp.org/210-Theme.php3 )
同著は、彼女がレンタルお姉さんとして、ニートと向き合った1000日間の記録であり、
そこには、失敗も含めて、その体当たりの奮闘ぶりが、赤裸々に描かれていた。
私はこれまで、本会議でも委員会でも、
機会あるごとに、社会的引きこもり問題を取り上げてきた。
国にとっても、愛媛にとっても、
将来を大きく左右する、大変な社会問題と認識するからだ。
その解決のヒントに、と手にした1冊であったが、
彼女とニュースタート事務局の取組みに、1つ気づかされたことがある。
行っていることの人間らしさ、である。
志の、人間らしさ、といってよい。
直接足を運び、対話を試み、拒否されても手紙を書き。
また足を運び、対話を重ね、さらに足を運ぶ、その繰り返し。
ニートたちの立ち直りを信じるからこそ、諦めずに続けられるこの粘り強さは、
インスタントでデジタルな現代にあっては、いかにも前時代的、である。
たとえば、ちょっと昔。
家族にもご近所にも、そこには、おせっかいがあったが、それに似ている。
その1つ1つは、相手を信じ、自分を信じるからこそできる、真心の行為であり、
泥臭く純粋で非効率だが、実に人間らしい、行為なのである。
ニートと社会的引きこもり問題は。
そうした人間らしい関係を、どのように社会に取り戻し、広げていくか、
ということを、私たちに問いかけているのかもしれない。
そこに気づくことが題解決の糸口、そんな希望を見出した1冊であった。
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 15:37