日経グローカルNo.96(2008.3.17)の、記事。
スポットが当てられていたのは、京都府立植物園。
植物園? しかも、公設?
私の乏しい知見では、ピンと来ようもない。
だからこそ、情報へのアクセスには、貪欲が必要だ。
公立の施設で有名なのは、北海道の旭川動物園だが、
この京都府立植物園も負けてはいない、という記事内容である。
入場者数が低迷していた同植物園を、
着任した2006年度、いきなり前年比約140%の70万人台に回復させたのは、
松谷茂園長、その人であった。
京都大学では農学研究科に学び、専門は、森林生態学、
ということなので、いわばその道のスペシャリストではある。
が、その志と行動力にはビジネスセンスが光る。
まず、着任早々、そのミッションについて次のように自ら振り返られる。
京都府立植物園は、1本の枝、1枚の葉も、府民から預かった大切な財産であり、
府民の税金で運営されている以上、府民に還元するのが僕らの仕事なのだ、と。
パブリックに徹した、その志は、まさにプロフェッショナル。
どのように還元するか、というところから、新たな仕事を創り出していったのである。
つまり、低迷する入園者をどうしたら増やせるか。
職員は、そのほとんどが技術者である。ゆえに寡黙であり、職人気質である。
笛は吹けども、会議は踊らない日々が続いたという。
が、松谷園長は、揺さぶり続ける。
桜の季節に夜間照明を当てた。
否定的な反論が、相次いだ。しかし、断行した。
冬場は、お客様の導線に、温室へ足を運ばせる仕掛けを創った。
再入園システムや、土曜ミニガイド、さらには。
新たに考案した、月1回の、「園長さんときまぐれ散歩」に至っては、
園長の解説そのものを、“商品” にしてしまったのである。
結果、入園者が10年ぶりに年間70万人台に回復したのであるが、
目標は、5年以内に100万人と意気盛んなのである。
一見地味な植物園もマネジメント次第、という好例だが、
それもこれも、すべては。
核となる人であり、1人に始まるのだな、ということを痛感する。
そして、ふと。
人ごとにしてはいけない、と自分に置き換えてみた。
- 投稿者
- 木村誉
- 投稿時刻
- 15:37